飫肥の歴史的建造物 利活用事業者を選定取り消して市が運営


 日南市飫肥(おび)にある歴史的建造物の利活用事業者となっていた、共同事業体おびむすび隊JV(株式会社狼煙・日本航空株式会社・株式会社奄美設計集団)が資金繰りの目処が立たないことなどを理由に、市は11月30日付けで選定取り消しとしました。

 契約日から2年以内にJVは、改修工事に着手または利活用を実施することが条件となっていました。 宿泊施設などに改修する予定だった建物は、本町商人通り(国道222号)沿いにある国登録有形文化財の旧高橋源次郎家や商家資料館、旧山本猪平家、小村寿太郎生家の4施設です。

 JVによって改修されれば、市の財政負担を抑えながら歴史的建造物の維持管理が可能となり、観光地としての魅力アップも見込めるはずでした。 約1年あまり閉鎖されていたため、観光にも影響が出ています。

▽食べあるき町あるきマップを販売している、飫肥城下町保存会・後藤廣史事務局長は「飫肥の周遊として捉えた場合、非常に勿体ないというか、本町通りに人が行かないので大変困っている。食べあるき町あるき『あゆみちゃんマップ』購入で(由緒施設が入館できる)目玉がなくなったことで、商店街まで歩かなくなったなどのダメージを受けている。由緒施設ということで、市民も見学できるトイレも利用できる、施設を拠点として周遊できる、元通りの由緒施設に戻すべきだと考えています」と話していました。

▽髙橋日南市長は「JV側と取り交わしていた2年間の期限を過ぎても改修利活用が見込めないので選定の取り消しを行った」「(施設開放の目処について)市民や観光客に対して年末年始を特別に無料で開放して、2023年度については通常に開放できるように市直営で管理運営していく」
「(今後の民間による改修・利活用について)現在のところ検討する考えはない。将来的に改修・利活用を含めて、補助事業などを模索する場面が出てくると思う」とコメントしました。

 2023年度は市が直営することになりましたが、維持費の負担を増やさないためにも新たな利活用の方法が求められます。

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